この記事をご覧になっているあなたは、東京のバーチャルオフィスに登記しようか検討されているところかと思います。事業の継続や新規起業にあたり、レンタルオフィスや賃貸より、気軽に始められそうな、バーチャルオフィス。そのバーチャルオフィスにおいて登記するメリットそして注意点をまとめました。これらをもとにご自身の希望にあった選択をさることをお勧めします。
目次 1.バーチャルオフィスに登記するメリット ①信用性の確保 ②プライバシーの確保 ③コストカット 2.バーチャルオフィスに登記する注意点 ①住所のシェア ②バーチャルオフィスのサービス内容の確認 ③銀行口座開設、金融融資等の難しさ ④事業によっては利用不可 3.まとめ |
1.バーチャルオフィスに登記するメリット
①信用性の確保
住所すなわち会社所在地も印象の1つです。スタートアップ等で事業実績があまり無い場合、住所はその企業の情報の一つとして少なくない割合を占めます。「都内の一等地で事業を行っている」ということは顧客や取引先の信用にも影響を与える可能性が高いと言えるでしょう。また、起業する場合、自宅を会社の所在地として登記される方も多いかと思いますが、自宅の住所だとどうしても副業のような印象を抱かれかねませんし、事業実態を怪しまれる場合もあるかもしれません。さらに、賃貸にお住まいの方は事務所として自宅を登記し公開することが契約で認められていないことも多いです。そこで、バーチャルオフィスを使って都心部や一等地など、ご自身が希望する本社所在地を登記することで、ビジネス上の好印象や信用性の獲得に繋がります。
②プライバシーの確保
自宅を拠点として公開した場合、商材の営業やDM等も全て自宅へ届くこととなります。プライベートの郵便物と混合する可能性がありますし、バーチャルオフィスの利用でその煩わしさが軽減されると考えられます。さらには、第一に自宅を公開するということは、多くの人にとって抵抗があるかと思います。そのため、プライバシーの保護の観点からもバーチャルオフィスに登記する利点があります。
③コストカット
自宅をオフィスとしない場合、実際にオフィスを構えることになります。物件の賃貸は初期費用(敷金、礼金、保証金、仲介手数料)が多くかかり、更に内装工事、オフィス家具費用、そして管理費、人件費、通信費と肥大していきます。まだ十分に事業が安定していない時に高い賃料を支払い続けるのは現実的ではありません。他方で、レンタルオフィスは敷金礼金等が無い場合も多く、賃貸オフィスよりは費用を少なくできる可能性もありますが、水道光熱費、インターネット使用料、オフィス家具のレンタル料等込みのレンタル料となることで、決して少なくない費用を捻出することになります。そのため、ご自身の望む業態に適応であれば、バーチャルオフィスの登記を選択することで大幅なコストカットが見込めます。
2.バーチャルオフィスに登記する注意注意点
①住所のシェア
バーチャルオフィスで提供している住所は、通常複数の会社で共有されることになります。よって、住所検索をした際に、他の事業者の情報が出るということがあり得ます。懸念されるのは、例えば類似の業種で似たような社名の会社が同じ住所の会員であり、顧客を混乱させる可能性が無いか、以前罪を犯した企業やイメージを大幅に下げるような企業がその住所を使っていなかったか、などです。イメージアップや信用力の確保の為にせっかく都内の一等地を登記し事業を始めたのにも関わらず、その逆でイメージダウンに繋がってしまっては、元も子もありません。ご自身がその住所を使うにあたってふさわしいかどうか、しっかりと調べる必要があります。
②銀行口座開設、金融融資等の難しさ
銀行口座開設や金融融資は言わずもがな、信用に基づいて契約が行われます。実際に拠点としている場所と登記住所が異なることで、バーチャルオフィスでは事業実態が掴みにくく、審査が難しいということが考えられます。しかし、バーチャルオフィスの登記は法律でも認められているものですので、きちんと実態を確認できれば審査が通るとも言い換えられます。
③事業によっては利用不可
いくつかの事業は、その業種によりバーチャルオフィス使用の許可が下りないことが考えられます。
・人材派遣業
・古物商
・金融商品取り扱い業務
・行政書士、弁護士、建築士といった士業など
人材派遣業においては、一般労働者派遣事業の場合、面積20㎡以上の事業所が必要となったり、賃貸借契約書の提出が必要となったり、バーチャルオフィスでは満たせない制約があります。また、行政書士、弁護士、建築士といった士業の方々も開業にあたり、機密保持ができるスペースの確保が必要であるなど、規定により許可が下りないようです。古物商や金融商品を取り扱う業務においても独立した営業所が必要とされているなど、事務所についての規制がある場合は認可が下りず、基本的にバーチャルオフィスを使用することができないと考えられます。バーチャルオフィスに登録してから、解約せざるを得ない状況にならないように、ご自身の業種の事前の確認が必要です。
3.まとめ
このようなメリット・注意点がそれぞれありますが、注意点も把握しておきながら検討し、バーチャルオフィスのメリットにより魅力を感じようであれば、活用すべきかと思います。一言にバーチャルオフィスと言っても、サービス内容は様々です。住所のみで判断するのではなく、ご自身に合ったバーチャルオフィスを選ぶことが大切です。郵便物受け取り転送サービスがあれば、どのくらいの頻度で転送されるのか、秘書代行サービスや会議室が将来必要となることが想定されるのであれば、オプションが充実しているかどうか、といったことです。
長い目で見て、バーチャルオフィスに登記し、いずれ事業が大きくなったら、レンタルオフィスに移行したり、オフィスの賃貸に移行したりするなど、ステップを踏むことでモチベーションアップに繋がることもあるように思います。そういったことを予め想定し、ファーストステップとしてまずバーチャルオフィスに登記し起業するという選択も良いかと思います。